作品紹介【はるまき日記:偏愛的育児エッセイ】~どこまでも率直で、親バカ炸裂のエッセイ

元々、読書(漫画含む)・映画鑑賞が趣味であった私。自身の妊娠、出産を機にあるジャンルに目覚めた。それはいわゆる、育児もの、家族ものである。

という訳なので、このブログで自信が読んだ・観た、育児、出産、家族に関する作品の紹介等もぼちぼちしていきたいなー、なんて考えています。

著者・内容について、ざっくり紹介

~はるまき日記:偏愛的育児エッセイ~瀧波ユカリ

著者の瀧波ユカリは漫画家で、私はこの人のデビュー作「臨死!!江古田ちゃん」のファンである。こちらの作品は江古田に住む23歳独身裸族のフリーター、江古田ちゃんの日々の暮らしを4コマ漫画で描いた作品なのだが、妙な中毒性があり、一度読み始めると止まらない。おススメ。

最近では、連載中の「モトカレマニア」の作中で、男性たち自身がセクハラをしてしまうことを未然に防ぐために、女子を除外した飲み会、略して「ハラミ会」をする・・・という描写をして、一部ネットで話題になったりもした。

そしてこの「はるまき日記」は作者自身の育児(2010年~2011年、娘が生後二か月から一歳二か月までの間)を綴ったエッセイで、当初私は「ちぇ、漫画じゃないのかー」と思いつつページをめくっていったのだけれど。・・・いやあ、面白いのなんのって。

独特の語り口と間が秀逸で、4コマ漫画の江古田ちゃんの頃から何となく感じてはいたけれども、文章力があるのだ。

二分される評価・・・子育てにおいて許される表現とは?

とはいえ、Amazonのレビューで分かるように、この作品、評価が結構分かれている。本作品の特徴、内容とより詳しく紹介すると共に、批判される原因を考えていきたい。

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育児についてどこまで下ネタが許されるのか

本作は、著者が感じたこと、思ったことが本当に率直につづられている。何が言いたいかというと、下ネタがすごく多い。特に排せつ物に対しての言及が多く、具体的な描写があるため、不快に感じる人が多いのだと思う。

でも、子どもが乳児のうちって、育児の結構な部分が排せつ物の処理で占められているのが現実なわけで。それを厭うことなく夫と一緒に「今日のオムツの中身はどんなか」を楽しみながら育児をできている著者夫婦は幸せなのではないだろうか。世の中、うんちは無理っていう父親が多いことを考えるとね。

また、排せつ物以外についても、娘はるまきの世話の最中で、ちょくちょく性的な事柄を連想してしまって、しかも正直に書き綴ってしまう著者。赤ん坊の世話を性的なことを結び付けて考えるなんて最低!!」といった非難が少なくない。例えば、漫画家の伊藤理佐なんて、本当は下ネタが十八番なのに、自身の育児を描いた「おかあさんの扉」ではかなり気を使って下ネタを控えているのが分かる。だが、瀧波ユカリは全く遠慮せず、楽しんで堂々と書いていたので、結構驚いた。

しかしながら、私、たぬぼうも娘の世話をしながら、結構くだらないこと、下品なこと、不謹慎なことを内心考えまくっている。誰しも口にしないだけで多少は思っているんじゃないかあ・・・なんて考えてもいる。これを読んで「こう連想しちゃうのは自分だけじゃなかったんだ」とホッとする人もきっといるはず。

子ども本人に言っているのであればセクハラになるかもしれないけど、そうでなければ目くじらを立てる程ではないと思う。娘の本名を出しているわけでもないし(成長した著者の娘が読んだら多少怒るかもしれないが)。

下ネタは下ネタだが、面白く共感できるレベルのものなので、私はそこまで不快には感じなかった。育児はどういう形であれ、楽しんだもの勝ちだという真理を突き付けているとも言えるかもしれない。

自分の子が一番可愛い・・・はダメなのか

本作は著者の親バカっぷりが炸裂している。まあ、「偏愛日記」とつける位だから。娘、はるまきに属するもの全て(排せつ物、蒙古斑、切った爪等々)に愛を感じる著者。

「他の子どものかわいさは、はるまきの足元にも及ばない」と述べる。

しかし、この著者の態度が一部では結構非難されているのだ。なんでも、

「自分の子だけが特別に可愛いと思うな!」「偏りすぎだ!」「親バカすぎて気持ち悪い」・・・という事らしい。

え!?著者の感性って至ってまともじゃない?誰しも自分の子どもが一番可愛いに決まってるじゃん!別に特定の誰かを貶した訳ではないのに、何故こうも批判されるのだろうか?

確かに、誰もが「うちの子も可愛いけど、子どもってみんな可愛いよね、うふふふ・・・」とお茶を濁す中で、「うちの子超可愛い!!宇宙一可愛いっ!!あ?他のガキ?知らんわっ」とは言いにくい空気がある。

でもね、元々大の子供好きだったならともかく、自分の子どもが一番可愛いのは人として当然のことじゃないでしょうかね。

私だって娘を産んで、色々と落ち着いてから他人の子どもを見て可愛いとは感じるけど、じゃあ、わが子以外の鼻水吸えるかっていうと無理、お断りです。娘より明らかに目鼻立ちが整った可愛い子が隣にいたって、娘の方が可愛いと感じる。それって悪いことだろうか?作中、数枚載っているはるまきの写真を見て「大して可愛くないのに可愛いという作者はおかしい」と攻撃する人がいるけど、違う、そうじゃない。そういう話じゃないんだよ。

親バカで何が悪い。一人の人間に対して「あなたが特別」「あなたが一番可愛い」なんていつまでも言ってあげられるのは親くらいなんだから。皆、心の狭い人の言う事なんか無視して、バンバン言い続ければいいと思う。

3.11後の北海道移住は責められることか

面白おかしくつづられている「はるまき日記」。しかし、3.11を機に作中の雰囲気が一転する。突然の大地震、続く余震、ニュースから流れ続けるネガティブな映像・情報。しかし、具体的にどう行動をすべきかは誰も教えてくれない。Eテレの「おかあさんといっしょ」から子ども達の姿が消える。

著者は不安な気持ちをできるだけ抑えて状況を書き続けていく。しかし、それでも内心恐怖が湧き出て止まらない・・・それが文章によく表れている。小さな、小さなはるまきを抱えながら悩んだ彼女は、思い切って東京から自身の故郷の北海道へ移住をすることを決め、すぐに行動に移し、引っ越すのだ(漫画家という自身の職業、また、夫も移動して問題無い職種であったことが大きい)。

そして、そのことがまた、批判の対象になっている。

その批判の内容というのが、簡単にまとめると

「関東から逃げたくても逃げられない人もいるのに酷い!!逃げられない人の気持ちを考えろ!」というもの。

・・・うーん。②-2でも書いたけど、やはり人間、「自分の子どもが一番可愛い」訳で。自分の子どもや家族の安全を一番に考えて行動するのは当然のことだと私は思う。だから、「放射能を怖がって移住するなんて、情けない、プププ・・・」と嘲笑するまだしも、上記の様な主張をするのは、非難を通り越してもう、ただの僻みでしかないのではないだろうか。どういったレベルの災厄・不安であっても逃げられるなら逃げられるに越したことはないのだから。

本書の魅力、まとめ

賛否両論はあるものの、本書は子育てに対して「力まなくても良い」「オムツ替えでも何でも嫌がるより、自分なりに楽しんだものが勝ち」ということを教えてくれる。要は無理やり「お母さん」になろうとしないで、自然体でいても構わないのだと。

一方で、「赤ちゃんは大人には絶対に思いつかないありとあらゆる独創的な方法で死のうとする」など爆笑しながら納得しつつも、同時にひやりとさせられる名言もあったりする。

多少の下ネタ、シュールな表現に耐性がある、出産を控えている人、乳児を抱えている人にはおすすめしたい作品である。

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